10月19日(土)安里 和晃 京大准教授の講演会の報告

10月19日(土) 安里 和晃 京大准教授の講演会の報告

 

10月19日(土)、当事業団の理事会に先立ち、京都大学、安里 和晃准教授(京都大学大学院文学研究科文化越境専攻(ドイツハイデルベルク大学共同学位)・社会学専攻)の講演会を、社会福祉法人浩照会のホールにて、開催した。


 演題は「アジアの介護労働と外国人介護労働者」で、日本政府の外国人労働者政策・移民政策の制度と運用がギャップどのように成立しているのか、多様化する移住労働のチャンネル(EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能)、制度の機能不全といい事例と悪い事例に触れながら、核心の介護人材を巡る、人口動向・労働市場動向の概要と送り出し国、受け入れ国の課題について、ご講演頂いた。

特に、介護人材の受入れは、制度の枠組みも乱立。相手国との関係で、複雑な制度は人々にとって理解しにくい。しかも、不透明なグレーゾーンが存在することで、悪質なブローカーなどが暗躍する余地を残し、移民労働者にとって、合理的な選択行動が難しく、制度コストも非常に高くなっていることが指摘された。

 次に問題となっている、斡旋料規制と斡旋料高騰。日本は国際的に斡旋料ゼロを宣言しているが、高い斡旋料は相手国の問題とし、法的拘束力がないとか、相手国のことは相手国で、となってきているので、そうすると国によって運用の格差が出てくる。

 そうすると悪評がたち、制度全体として収拾がつかなくなっているのではないか、と鋭く指摘された。こうした中で、高斡旋料と低賃金の板挟み→取り立てと精神的な不安定→失踪の負の連鎖も生じ、公的な介入が出来ないため、おのずと限度が生じると警鐘を鳴らしておられた。

しかも、職業としての介護は、まだ送り出し国では確立していないので認知度が低いこと。又、台湾や韓国の事例を紹介しながら、日本に行く魅力は相対的に低下していることも指摘された。