1)設立準備の活動

①第1回外国人介護技能研修生の受け入れ検討会(2015年8月28日)

8月28日(金)、13時~15時まで、パルシステム共済連会議室にて、以下のメンバーが参加し、上記の受入打合せの会議を開催した。
◇社会福祉法人陽光 理事長  金澤 剛
◇社会福祉法人ぱる 理事長  福本 京子
◇全国生協連 統括部長 千田 透 (元厚労省老健局 介護保険指導室長)
◇㈱ウエルビーイング・クリエイト 代表取締役 村田 彫二
◇KILALACOMMUNICATIONCO.LTD. (Kilalaベトナム)会長 石原 温
◇グローカル協同組合 理事 桑山 博愛  同管理課長 生田 源
◇パルシステム共済生活協同組合連合会 顧問 小沼 正昭

・会議は、グローカル協同組合の桑山理事より、資料に基づき、『介護職 外国人技能実習制度~受入における留意事項並びに制度導入の流れ~』と技能実習生受入れのお見積り概算の報告を受け、質疑した。質疑において出された≪主な意見≫と会議の≪確認事項≫は、以下の通り。

 

≪主な意見≫

  • この制度の不確定なところやこれまでの外国人技能研修制度の実態等を踏まえると課題も多い。しかし、日本の介護現場の慢性的な人員不足を考えると、課題を残しつつも、最適な人材を確保するために、2016年度からの外国人研修生の受け入れを準備する必要がある。
  • 各国の送り出し機関、日本の管理団体、研修受入団体の3者が外国人研修生の尊厳と人権を尊重し、日本語の習得、日本における介護技術の研修に万全な環境を整えることが担保される必要がある。
  • 特に、現行の外国人研修生制度を巡っては、送り出し国における、悪質なブローカーの暗躍や送り出し機関のピンはねで、借金を背負って来日せざるを得ない研修生の実態も報告されている。日本国内においても、一部の受入団体が劣悪な労働環境を強い、低賃金、残業代の不払いなど人権を無視した実態も少なくないと報告されている。そして、送り出し側、受入団体からの二重の労苦を背負わされた外国人研修生の『失踪』事件も多発しており、こうした構造的な要因を排除した、十分な制度設計に基づく、3者のしっかりとしたパートナーシップが大切だ。
  • 又、外国人研修生が帰国後も、各国の高齢化等の事情に応じて、学んだ介護技術を活かせる職場環境の確保に最大限の配慮をする必要がある。東アジア各国も高齢化社会を迎える。各国の介護現場が、国境を越え、『win-winの関係』で人的に交流し、相互に『介護技術とサービス』を根付かせ、相互扶助の地域社会を展望していくことを期待したい。

 
≪確認事項≫

  • こうした質疑の上で、熊本市の5,6施設が、この秋にもベトナム等の現地視察を行い、2016年度からの外国人研修生受け入れに向けて、諸活動を進めることを確認した。
  • 又、この会議を継続して開催し、上記1.の先行事例の報告と教訓を共有しつつ、又、並行して、質疑で出された課題の整理を行い、外国人研修生の尊厳と人権を尊重し、オルタナティブな互恵的、しかも持続的な外国人介護技能研修制度の確立を検討していくことを確認した。

・又、会議において、以下の補足説明があった。

1.管理団体グローカル協同組合(出資金524万円、代表理事山田隆嗣、本部は岡山県津山市)は、2014年10月に、外国人介護技能研修生受け入れに特化して設立され、設立時はパン・菓子製造その他の4社が加盟。今後、外国人介護技能研修制度の制度化を踏まえ、事業目的に介護技能研修生受入に係わる事業を定款に加える予定。尚、別途、2014年1月設立のグローバル協同組合を設立し、外国人技能実習生受入事業を開始している。

2.同組合からは、ベトナム送り出し機関(GLOTEH)と併設する看護学校との提携が報告され、日本語教育・介護職初任者研修へのeランニング・システム「ケア&トレーナー」の活用を検討している旨の報告があった。又、日本語学校との提携も視野に入れていることが追加報告された。

②第2回外国人介護技能研修生の受け入れ検討会(2016年1月17日)

2016年1月17日(日)、13時~14時半まで、社会福祉法人ぱる いききタウン蕨会議室にて、以下のメンバーが参加し、上記の受入打合せの会議を開催した。

◇社会福祉法人陽光 理事長  金澤 剛
◇同法人 特別養護老人ホームみかんの丘 施設長  池尻 久美子
◇社会福祉法人ぱる 理事長  福本 京子
◇Kilalaベトナム 会長  石原 温
◇グローカル協同組合 東京事務所所長  藤崎 光明
◇パルシステム共済連 顧問  小沼 正昭

尚、全国生協連 総括部長 千田 透さん、グローカル協同組合 理事 桑山 博愛さんは、所用で欠席となったが、両氏から別途資料の提供があった。

会議は、パルシステム共済連の小沼顧問より、外国人介護技能研修生制度を巡る最近の情勢と他の事例紹介と情報の共有等の報告、池尻さん、福本さんより、又、藤崎さんから、グローカル協同組合の桑山さんの報告書に基づき、11月ベトナム視察の報告がなされ、一括して質疑した。

引き続き、小沼顧問から、今後の進め方と次回の案内について提案があり、質疑した。報告と提案を巡って出された≪主な意見≫と会議の≪確認事項≫は、以下の通り。

≪主な意見≫
  • 外国人介護実習生受入のための条件の詰めや「制度化」が遅れている中で、日本政府は、各国の送り出し機関に人材募集を絶対にしてはいけないと言う通達を出しており、現地の事前活動が許されていない。こうした中で、国の縛りがない国として、ミャンマーがあり、先行投資で、1年かけてじっくり介護人材の教育を開始することも検討する余地があるのではないか。
  • 外国人技能研修生制度の「介護」への拡大に、どのような懸念が表明されているのか。又、「制度化」へのタイムスケジュールは、どのように考えられているのか?
  • 11月ベトナム視察の折に、現地法人から提案があった奨学金制度について、グローカル協同組合の桑山さんの報告書にて補強があり、参加者から、メリットとデメリットの是非について意見があった。又、他のルートも含め、複数のチャンネルの確保も必要だ、との意見があった。
  • 今後も現地視察をしながら介護や看護の事情を掴み、ルート確保に努めるが、ルート確保は施設が20,30名を受け入れることを確約しない限り始まらない、との意見があった。

≪確認事項≫
  • 外国人技能研修生制度の「介護」への拡大が、危ぶまれているとの情報もあるが、基本的に今秋の「制度化」を前提に、フィリピン、ベトナム等現地送り出し国、機関の動静を踏まえながら、又、国に縛りのないミャンマー視察などにもウイングを広げて、柔軟に来年春からの実施対応を進めることを確認した。
  • また、フィリピン、インドネシアなど東南アジアの国々は、香港や台湾などに多くの家政婦、メードを送り出している。高齢者の生活介護に従事する人も多い。こうしたことから、各国の家政婦協会やヘルパー協会などにもウイングを広げて、連携できる組織、団体を探すことも確認した。
  • この会の「目的とめざすもの」については、継続して協議していくことを確認した。 次回の会議は、3月26日(土)10~13時、パルシステム連合会4階会議室第6会議室にて開催する事を確認した。
  • その折に、中国山東省 北海教育投資管理股フエン有限公司の宣 京哲総経理からのプレゼンを受け、この9月にオープンする健康管理学院の日本の介護教育や人材交流との連携の可能性について検討することを確認した。

 

③第3回外国人介護技能研修生の受け入れ検討会(2016年3月26日)

 2016年3月26日(土)、10時~13時まで、パルシステム連合会4階第6会議室にて、以下のメンバーが参加し、上記の会議を開催した。

◇中国山東省 北海教育投資管理股フエン有限公司  宣 京哲総経理
◇社会福祉法人陽光 理事長 金澤 剛 / 施設長 池尻 久美子
◇社会福祉法人ぱる 理事長 福本 京子
◇全国生協連 統括部長 千田 透 (元厚労省老健局 介護保険指導室長)
◇㈱ウエルビーイング・クリエイト 代表取締役 村田 彫二
◇KILALA COMMUNICATION CO, LTD. (Kilalaベトナム)会長 石原 温
◇グローカル協同組合 理事 桑山 博愛  人材開発部長  藤崎 光明
◇パルシステム共済生活協同組合連合会 顧問 小沼 正昭

1.会議は、第1部のプレゼーション『日中介護人材教育に関する提案』(中国山東省 北海教育投資管理股フエン有限公司 宣 京哲総経理)を受け、質疑を行った。続いて、第2部の『自立支援介護の(動画)教育システム:ケア&トレーナー』(㈱ウエルビーイング・クリエイト 代表取締役 村田 彫二)の仕組みの説明を受け、続いて、特別養護老人ホームみかんの丘の池尻施設長から、同システムの活用状況などの実践報告が行われ、質疑を行った。
 プレゼンテーションに対しては、介護技能研修生候補者の絞りこみの理由とその想定は?又、中国の介護就労で受け取る報酬と比較して、日本で研修生が受け取る報酬は、応募の動機付けに繋がるのか?山東省の送り出し機関の選定は?新設する専門学校で介護の基礎と日本語を学んだ後に、留学ビザで来日し、日本の介護施設でアルバイトしながら日本の介護福祉専門学校等で学ぶ、介護留学は、卒業や資格取得など、どのようなしくみになるのか?又、日本の受入専門学校の目処はついているのか?などを巡り、意見交換を行った。
 その上で、6月17,18日、山東省で行われる、9月に開校する専門学校のオープンセレモニーと介護セミナーに出席する(日程としては、6月16~18日とし、別途、参加者を募集する)ことと、今回の2つの提案(技能研修生制度と介護留学)の実現に向けて、協同して検討することを確認した。
 又、「ケア&トレーナー」の説明に関しては、利便性の向上として、タブレットの活用やみかんの丘でのキャリア段位制度への適用状況の補足が行われた。eランニング・システムを活用した、外国人介護人材育成システムプロジェクトの紹介に、関心の意見が寄せられた。

2.続いて、外国人技能研修実習制度を最近の動向について、以下のような報告がなされた。

1)千田さんから、7月の参議院選挙前の5~7月に、早ければ4月に国会審議を行われ、外国人技能研修制度の介護分野への拡大が制度化される見込みだと報告があった。但し、管理団体の役割や範囲など一部まだ決まっていない、とのことであった。又、全国老人施設福祉協議会(全国老施協)も、この動きを受け、管理団体となることも射程に入れた対応準備を進めていることが報告された。関連して、「これからの福祉人材・介護人材を展望する」(全国老施協 福間参事)の講演資料を提供いただいた。
2)又、グローカル協同組合の桑山さんから、ミャンマーで、制度化を想定し、今秋からの派遣を念頭に、介護人材育成が始まっていることが報告された。又、関連する、ミャンマーの送り出し機関の介護事業者向け資料の提供をいただいた。

3.報告事項の後、金澤さんから、『「日本の介護」を必要とする国・必要とする人々に伝えるために』の特別報告があり、協議事項の『今後の運営と法人化の件』提案と合わせて、質疑応答を行い、以下のことを確認した。

1)任意団体から、法人化を目指す。
2)これまでの活動と討議内容を再整理し、法人化の趣旨をまとめ、事業計画書作りに着手する。
3)この趣旨のもと、賛同する全国の社会福祉法人、介護事業者等に新設する法人への参加を募る。
4)国際介護人材育成のために、介護研修センターや介護研究所を設置し、全国のモデル事業を展望する。
5)法人格は、一般社団法人とし、2016年度上半期中、早ければ6月までに設立する。
 又、新法人への参加は、機関決定を要することから、機関会議の開催日程を考慮して、趣旨書(案)、事業計画書(案)を作成する。
6)新法人の名称、事業の目的については、趣旨にそったかたちで再整理する。

4.最後に、4月に、新法人の設立に向けて、関西の社会福祉法人、介護事業者と設立趣意書や運営について、協議することを確認した。又、北海教育投資管理股フエン有限公司 宣 京哲総経理の日本滞在中に、6月訪問企画や今後の具体的な進め方について詰めを行い、提案内容を確定することを確認した。