ヤンゴン市タケタ地区の僧院報告並びに若干の課題

2020年2月13日

一般社団法人国際介護人材育成事業団

金澤 剛

□訪問日時 :2020年2月11日(火)14時00分―15時00分

□訪問先  :ヤンゴン市タケタ地区の僧院と運営責任者の僧侶

(敬称略)

□訪問者  :NPO ReCA ミヤンマー事業リーダー 大塚 進 

社会福祉法人浩照会顧問 宮脇 棟次郎 

一般社団法人国際介護人材育成事業団理事長 金澤 剛

□通訳  :オールアクセスミャンマー(以下、AAMと略す)代表アウンコーラット

 

1.訪問の目的と結果

・2月11日、ヤンゴン市内タケタ地区にあるアウン代表の兄が運営する僧院に訪問し、僧院代表の兄様と面談した。昨年8月に次ぐ、2回目の訪問であった

・訪問の目的は僧院付属診療所に高齢者、障害者対象のデイケアの運営が可能かの基本的調査、並びにその計画事業が僧院側の了解、合意が得られるかの基本的話し合いである。

約1時間の短い会見の中で話し合われた結果は、以下の通り。

1)NPO Rehab-Care for ASIA(以下、ReCAと略す)の作業療法士大塚 進さん、鈴木一登さんなどが、週に2回開設している、診療所の診療時間中に、その診療メニューの中

リハビリ診療コーナーを新たに開設する。


2)実際のリハビリテーション診療の中から、必要な事柄を調査し、その行為の中から必要な人材、機材、運営組織など調査しそのうえで提案企画していく、との現実的、かつ実際の実現可能な手法にて着手することが合意された。

3)開始時期は、帰国後ReCA並びに国際介護人材育成事業団と協議して僧院側に提案し決定など。

・この中で、まず第一にリハビリテーション治療に着手し地区に必要な高齢者、障害書対策の現実的なニーズを把握することから開始することが決定した。

一方、受け入れる僧院側も既存の診療施設の活用を進めるなど積極的に進めようとの意思も確認できた。

 

2.ここに至る経過

(1)昨年8月の訪問時に、ミヤンマーの社会福祉の実際を実質的に担っているのは、伝統的に寺院、僧院でありその現実をアウンコーラット代表の兄が運営しているタケタ地区にある僧院付属診療所並びに小中学校などの教育現場を見ることで確認出来た。

□タケタ地区当該施設

・小中学校はタケタ地区にて開校。生徒約220人で、月曜~金曜日に開講。

授業教育の機会に恵まれない該当児童約160人、そして僧侶修行中の児童約60名が、授業を受けている。


・診療所(クリニック)は毎週火、金曜日の午前中に開設,

内科疾患特に心臓、糖尿病などが多いが、腰や膝の痛みなど整形疾患なども多い、また歯科も。

開院後11年経過し、1回の診療で120人~150人ほどが受診している。

かかる費用は原則無料であるが、患者の意識付けの意味で2百チャット徴収している。

小中学校並びに診療所の運営は人材、費用などはすべてボランティア、並びに寄付で賄われている、又、学校教師、診療所医師、看護婦、などもリタイアした人や現役の人たちのボランティアにて運営されている。

その中に一人現役のPTもボランティアで参加しているとのことだった。

 

・又、今年6月に完成することを目的に新たに3階建ての小中学校を工事が進んでいた。

新校舎が完成すれば、必要となれば、現在教室に使っている部屋をデイケアに使用することも可能、などの視察結果を得た。

 

(2)昨年12月訪問時

・訪問中ReCA大塚氏との協議にて僧院付属デイケア施設計画案提案。基本提案書を作成しAAM代表アウンコーラット代表並びにその兄上の僧侶に提出。検討依頼、

 

(3)2020年1月14日 ReCA鈴木一登さんが訪問調査

先の報告現状のほかに、クリニックにての登録ボランティアスタッフは医師6人、歯科医師8人、韓国の歯科大学よりの援助あり。最年長のボランティア医師は元ヤンゴン総合病院責任医者の80歳の女性医師である。お兄さんの僧侶は鈴木さんにボランティアで僧院にてリハビリ活動をすることは大歓迎であるとのこと。

 

(4)2020年2月11日訪問

・先に記した面談内容である。僧院代表のお兄さんの言によれば、「先回までは計画案であったが、今回から実現案に代わったようです」とのことでした。建設中の新教室棟は2階部分の柱鉄筋工事中で5月の雨季が来る前までに3階の屋根工事を終わらすとのことであった。

 

 

3.課題

 

(2)今回の訪問でデイケア計画は実現に向けてのステップが一段上がったと思われる。その一方、現実は。僧院にデイケアを開設する必要性は僧院側並びにAAM代表アウンコーラット代表もあまり感じていない。まして「デイケア」の意味が我々との共有の認識が取れていない。結果的に、場所は提供するから自由にボランティア活動で「デイケア」をやってみてくれとの認識であろう。そこで既存のクリニック診療体制の一画としてリハビリ診療を開始し、その行為の中から当地に必要なリハビリ治療の中身とその必要性をミヤンマーの人たちにご理解をいただき、自助にてその活動を実施できるようチャンネルを変えるよう努力する方法から始めることにする.

 

(2)現状では、デイケアは医療的リハビリテーション治療の場として認識されていて、そこには介護職の必要性などの認識は、今はない。それも現実運用の中から出番を意識的に作り上げ「介護職」の必要性を認識してもらう。例えば日本の介護現場としてのデイケアにおける介護職の役割のような場を意識的に演出して理解を得る。例えば「認知症ケア」における介護職の役割など。その作業のもう一つの目的は、現在日本で介護技能を学んでいる技能実習生が帰国して習得した「日本の介護」を生かせる場所つくりである、その為ミヤンマーに必要な「介護」を日本で学んだ介護を基礎にして見い出す場として作り上げるとでもある。。

 

①そのうえで訪問介護の必要性などを認識してもらい,事業化に導きたい。

②アウンコーラット代表がなぜか非常に気にしている,日本人のボランティアのビザの合法性の必要あり。

長期的には観光ビザなどではなく、何か合法性をとのことである。

これは今後の援助スタイルとの関係であり、仮に1か月を超える期間の就労が必要になったり、又はよくやられている観光ビザでの就労やボランティア活動では困るとのことのようだ。

当たり前のことではあるが、合法的身分での援助のための身分の整理,獲得をする。

 

③我々は介護技能実習生の実習成果を発揮でき場としてのデイケア開設が目的である、

言葉を換えれば、介護技能実習生の帰る場所つくりである。

その為にどうするかが課題である。

また一方、今後の日本に向けた介護人材育成のためにも現在この課題を対岸の火としているAAMにとっての位置づけも必要となる。

 

ア)介護講習は現在実習を必要としてはいないが、実習生たちはその具体的イメージつくりに苦労、その結果要件獲得のための実習であり、現実的にはあまり意味をなしていない、その結果改善の必要、

ミヤンマーにあっては介護技能実習生の一番の数を送りだしている送り出し機関」「ミヤンマーユニティー」などは介護の現実の理解を促すため3月より「バーチャルリアリティー(VR)を導入しより日本向け介護技能実習生の質向上に努めようとしている。

それと同様にやり方は違うが、開設予定のデイケアにて介護を実践することでより現実的に介護講習により現実性をもたらすことが出来る。

まして未だよく運用が不明であるが特定技能制度の介護試験の補助教育にも役立つはずだ。

 

イ)介護以外の技能実習生にもマンネリ化する授業に刺激を与える意味でお寺付 属デイケアのボランティア活動も意味が出てくる。このような位置を確保したい。

 

4.運営にかかる費用(例えば関係者の渡航費、滞在費などの費用の捻出方法)

・介護技能実習生の帰る場所つくりを本件の具体的運用の中から作り上げるための協議機関の設置

 この様なことが今後の課題であろう。

 

以上