外国人スタッフを常用できる体制を作るために

~確定している未来の人材不足に備えて~

2023年3月31日

一般社団法人国際介護人材育成事業団

理事長 金澤剛

1.はじめに

昨日新聞を開くと真っ先に「2040年労働者不足1100万人」との記事が一面に掲載されていた。

これは何も今新しく語られることではなく、2040年問題として国も「2040年を展望した社会保障―働き方改革」として以前より検討開始していることではあるが、いざ数字を挙げ新聞記事に上がると、さすがことの重大性をあらためて考えさせられる。

また昨年3月樺島郁夫熊本県知事などがハイレベル有識者委員として参加していた「独立行政法人国際協力機構」(以下JICA と記す)が報告した「2030年/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書」などによると外国人労働者数は仮に現在と同じ滞在期間とすると2030年には63万人不足し、2040年には42万人不足するとの推計が報告されている。

この推計値は現在日本の国力、あるいはポテンシャルなどを現状維持、あるいは其れに近い点で推計しているなど、ある意味においては期待値が多少含まれているのが気になるところであるが、いずれにしても圧倒的に働き手が不足し、その充足に為には推計によれば現在の1.5倍から6.6倍の幅で外国人労働者を必要としていることだけは明確である。

またその中でも紙面に載った「リクルートワークス研究所報告」の2040年によると介護サービス部門は人手不足が産業の中で一番で25.3%の不足率であるようだ。

またこの予測は今後何十年続く出生数の減少からして数値はともかく減少することは確定である、それに対し我々は何も座して待っているわけではない。

またこのことは国際的傾向であり、ただ日本は抜きんでて傾向が強いのである。

従って、解決策として我々は介護人材の国際的循環の実現を想定したのである。

またその第一歩として技能実習制度を利用したりして外国の若者の招聘に動き出したのである。

 

動き始めの其の第一期生を迎い入れて4年 様々な問題が発生した。

それはいずれも現実に迎い入れて初めて解ることだらけで、その処理に日々頭を悩ましていることも確かである。

 

現在の課題の第一は

「外国人スタッフの常用体制の構築」である。

技能実習制度、あるいは特定技能制度を利用して外国人スタッフを招聘はしてきたが、それが雇用する側もされる側も一時しのぎの域を出ていないのが現状である。

雇用する側は制度利用の有期雇用であり非常勤待遇が大勢を占め、される側は出稼ぎの域を脱していないのが現状である。

しかし、例えば介護福祉士資格の取得等長期あるいは永住に向けた努力をし始めた外国人スタッフも出始めている。

この様に外国人スタッフの中に長期雇用を希望しそれに向けた努力に励む人も出てきた。

また事業団が現在作業中の実習生のアンケート調査などでも介護福祉士資格取得などを希望している者、あるいは早、現実にその資格を取得した若者も出てきている。

だがしかし現状は、それを受け入れている雇用者側が真にその希望を受け入れ その人材を雇用し事業の戦力としての具体性に欠ける様である。

ただあるのは、例えば介護福祉士資格を取得し長く自事業所にて就労してもらえば助かる、との一般論の域を出ていないのが現状のようだ。

そのことは次の事からも見えてくる

1年後の2024年春に雇用予定,あるいは希望の人数は現在外国人を雇用している会員事業所からはいまだ上がってきていない。

来年雇用は第6期生となるため仮に今まで毎年2名ずつ採用したとしたら10名前後を抱えることになり仮に施設全体では不足が予感できても外国人スタッフはここで一旦様子見。

とのことのようだ。

確かに不足の認識はあるのだが外国人スタッフの雇用はいまだに手探りである事の証でもあるのだが。

現在到達している我々の認識はこの様である。

現状では、外国人スタッフは一時しのぎの助っ人であり施設全体の招来計画などからみれば「戦力外」との認識なのであろう。

これでは、先に挙げた今後押し寄せる絶対的不足に対しては何とも無力である。

先に記したように外国人スタッフが例えば介護福祉士資格を取得して永住希望を強くも持ったとしても、肝心の雇用する側はその人材を積極的に自事業所の発展のために重要な戦力として位置づけることは現在ではしていない、また発想において想定もできないようだ、

現に雇用している外国人のキャリアプログラムを作成したとしてもそれは今後日本語能力のN1、あるいは2を取る、あるいは介護福祉士資格を取るなどが今後の目標としていて、総じて個人目標達成の域を出ていない。

現状は自事業所の戦力としてその能力を育成しまたそれに見合った責任を与えるなどの育成計画まで作成している事業者はいまだ無いようだ。

簡単に言えば、外国人スタッフを育成し中間管理職、管理職、あるいは施設長の登用まで視野に入れるキャリアプログラムの作成をどうも必要としているようだ。

またその具体性を示さなければそれぞれの資格などを取得した雇用スタッフは当然その資格を活用できる職場に転職していくであろう。

またその視点をもって外国人スタッフを位置づけ必要な人員を雇用し続けなければ今後の絶対的不足時代を乗り越えるのは困難になるであろう。

その意味で「全スタッフの1割を超えないように外国人を雇用する」などの内規は陳腐化しつつあるのであろう。

其れよりむしろ、国籍の如何を問わずの実力主義こそが今後のスタッフ不足に対する構え方であろう。

また、その状態の中にこそ国境の壁を自然に融解する力を育成するであろう。

また、国際的循環を思考した場合第一に新たに事業などを企画、あるいは率先して切り開く人材が必要となるため、何とかそのような人材を育成する必要があるためでもあるが。

 

2.さて具体的に外国人スタッフを常用する体制の構築にかかろう

迎い入れた外国人介護スタッフの第一期生は実習2号終了、ほぼ全員が帰国することなく特定技能1号に在留資格を変更、現在は現場スタッフとして就労をしているのが現況である。

また今後も毎年同様のスタイルにて就労が常態化する方向である。

一方このように外国人スタッフの就労スタイルは徐々に定着化しつつある。

しかし、迎える体制はそれを保証する規定などが不足し就労秩序をかたち作る「就業規則」なども不備の事業所か大半のようだ。

それはあくまで生起する事象が外国人スタッフを受け入れ事業所にとって初めてのことであり、そのことに対しての自事業所の規定などの未整備である事が露呈している現実が物語っている。

今までは国の定めた規定等にて処理はされているが、それを自事業所の規定などに消化していないため個々の事情によって国等の基準などに照らして執行しているのが現状である。

其の状況下、問題なのは国の規定あるいは規則などが一貫性がなくご都合主義の賜物であることである。

其の原因は、技能実習制度そのものの出自にありそうである。

制度の生まれは1990年後半から2000年に成立運用されていた「研修生」にある。

それは、日本の技術を「学ぶ活動」との位置付けで研修であるため労働関連法規対象外とされていた、それを好いことに最賃以下で雇用したり、休日なし、労働時間無視、などの実態は安い労働力そのものの扱いであり、あまりにも苛烈な実態を呈していた。

その後2010年に技能実習制度として衣替えをして労基法対象業務となった、しかし技能の習得を目的とした建て前は変わることはなかった。これがたてまえと実際運用の乖離を生む原因であるにも関わらず不変であるため各所に矛盾、齟齬が生まれていることは確かな事である。

それがいまだに続きその矛盾を解決すべく成立させた「特定技能制度」にもいまだにその影響が色濃く残っている。

それは、例えば規定の各所に労働基準法の遵守をあらためて謳っていること等にも見えてくる。

また、昨今事業団内部で問題となった、年金脱退一時金の問題も.支給の権利は最長5年の保険料納付が必要であるが、それも当初は3年であったが、技能実習制度が3号実習生も含めると5年になるため5年に変更された、しかし特定技能制度の制定にて技能実習制度と合算すると都合8年あるいは10年の在留が可能となり、現在にあってはそのこととの相関が取れてなく、不都合が生じている。

また後に記すが、一時帰国の件も然りである。

この様に技能実習制度に関する法もそれに関する運用規定も、また現実的に強く関連する規定もそれぞれの相関に齟齬などが生じていてチグハグである。

その原因は、やはり制度の建て前と実際の運用目的の乖離に起因して、運用に支障がきたすと取り繕いで運用を重ねてきた結果であろう。

そうであるため今回議論となった「脱退一時金取得と一時帰国の件、あるいは一時帰国そのものの条件」などはあまり真剣に合理性を追求しても意味がない、それは制度そのものが付け刃の連続の結果であるからだ。

外国人スタッフと雇用事業所の持っている諸条件に合わせてそれぞれに一番良い方法を選び出せばよいことで、例えばいったん退職再雇用が条件として必要となれば躊躇せず実行すればよい、何もそこに「目くじらを立て」て、議論する必要はない、そもそも制度そのものがそのようなものだからだ。

 

 

外国人スタッフの常用体制整備の第一としてまずは

(1)就業規則、規定等整備の必要性

雇用契約書には就労に関わる絶対記載事項が記載されており総合的には就業規則の一部は整備されていると解釈されているが、既存の就業規則にこと外国人スタッフ雇用から発生する条件等を規定した項目に関しては触れられていないのが大半であろう。

現実は、この間外国人介護スタッフ特に技能実習生並びに特定技能1号の在留資格で就労しているもの固有の労働条件などの取り決め等に不足していた基準が散見される事案が発生してきた。

そのため、まずは就業規則にて基準を明示す事項と、それ以外に運用上に課題となっている事項を点検してみる。

 

まずは、基準、あるいは物差しとして厚労省が明示している特養モデル就業規則、並びにパートタイマーモデル就業規則を参考にしてみよう。

その上で昨今課題となった項目を多少整理してみよう。

厚労省モデル就業規則

www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/model/index.html

パートタイム、有期契約職員就業規則

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046152.html)。

 

それにあたって原則は

①待遇処遇にあたり日本人職員と同等を旨とする。

②外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法

入管法、特定技能制度に関わる関連法等、など関連法等を遵守する、あるいは優先するものとする。

 

(2)就業規則作成に関して主なる検討事項

A  身分問題

有期雇用なのか無期雇用なのか

前提条件

外国人労働者の雇用期間は在留資格にて定められた期間を超えてはならない。

 

①有期雇用契約の注意点

*技能実習生は1号1年2号3号それぞれ2年の都合5年

特定技能1号は5年との在留期間が定められている

*有期雇用の期間

労働基準法上、有期雇用の契約期間は原則として3年が限度(労働基準法14条)

そのため、技能実習生の場合、契約期間1年の毎年更新(原則3回が限度)

あるいは2号終了までの3年の有期雇用契約、そのうえで必要となれば新たに3号2年の有期雇用契約締結

特定技能の場合は3年の有期雇用契約+2年の有期雇用契約更新等が考えられる

*有期労働契約 (契約期間の定めのある契約) であっては雇用契約の更新が必要な場合は更新する際に、あらためて労働条件を明示しなければならない。

*有期労働契約は原則1年以内。やむを得ない事実がない限り退職は出来ない(民法628条)

技能実習制度上も同様。

しかし、1年を超える契約期間の契約は1年を超えた日以降であればいつでも退職は申し出ることが出来る(労基法附則137条)

技能実習制度は原則転職、退職不可、要注意。

やむを得ない事由がない限り、契約期間内に解雇することはできない。(労働契約法第17条第1項)

そもそも有期雇用契約は期間の定めのない労働契約の場合よりも、解雇の有効性は厳しく判断されているが、技能実習制度上は「退職」との概念はないのと同様に解雇も強くけん制されている。

 

②無期雇用契約の注意点

*当然技能実習生も特定技能労働者も無期雇用契約の雇用は可能である。

先に示したように在留許可による身分により在留許可期間が定められているため労働日数が定められている。

当然在留許可が優先されるため、概念的には無期雇用契約は矛盾があるが。

雇用する側、される側の相互の安定のために期限の定めのない雇用契約も一考に値する。

 

また今後自事業所の有力な戦力として育成する人材は別途育成コースを設け総合職コースなどを構築する。(この件は別稿)

 

B 退職問題

*有期雇用契約期限が来たとき、並びに在留許可期限などにより退職

他に自事業所の就業規則による退職

*外国人職員が退職し日本を離れた場合、特に技能実習生並びに特定技能職員等で厚生年金加入期間が合算して10年に満たない人は5年分を最大にしての支給額の計算による脱退一時金の支給を受ける権利がある。そのため要注意。

 

C 一時帰国問題 

論を進めるための言葉の定義

便宜上

技能実習制法に規定されている一時帰国を一時帰国という。また特定技能制度における一時帰国を里帰り帰国という。

 

*一時帰国

技能実習制度においては、3号実習生になる前か3号開始後1年以内に1か月以上1年未満本国に一旦帰国することを技能実習計画の認定基準となっている

またそれを保証する契約は技能実習制度上2号までの契約終了し新たに3号の身分の雇用契約を結ぶ場合は一旦退職、そして3号の再契約。

それに基づき期間は制度で決められた期間の範囲内で雇用契約を結ぶことが現実的であろう。

あるいは雇用契約そのものは継続、その際特に制度上は休暇中の身分の位置づけ規定していないが、就業規則上は求職が相当であろう。

尚 技能実習2号から特定技能1号に在留資格の変更した者はその資格は持たない。

*里帰り休暇

特定技能の場合は雇用者の配慮義務として里帰り休暇等の付与が望まれている。

具体的には里帰りのために有給休暇の申請に対し当然労基法の規定に従う。

また日数に不足がある場合特別休暇等の付与が望ましい。

(この様に労基法においてはごく当たり前の規定をあえて規定せざるを得ないのが現状の外国人雇用の実際なのであろう)

そのため、就業規則上は「休暇」の項目にて規定

尚 {特定技能基準省令第1条第1項5号 外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させるものとしている}

その場合ごく当たり前のことであるが就業規則に基づいて日本人職員と同等条件の付与。

 

規定を作る参考として

*外国人職員里帰り休暇は特別休暇の枠の中に該当し、規定する場合は、有給無給、あるいは日数などは事業所の判断によるが一般的に里帰り休暇は最大一か月程度が妥当であろう。

ちなみにミャンマーの場合「水かけ祭り」は約10日の為それに対応する休暇が一般的のようだ。

一般的日本人職員の里帰り日数は最大でも1週間程度が普通であり、それと比較しても外国帰国の条件など加えるとその程度であろう。

また同質の休暇としてリフレッシュ休暇が考えられるが、それも一般的には就労年数に連動しているようだ(5年就労で5日、10年で10日など)

そのため、有給休暇に加えて10日程度が日本人職員との差を生じない日数ではないか。

 

仮に諸般の事情に不足する場合

*有給休暇は2年間持ち越すことが可能の為2年分の有給を消化して里帰り

そのためは、取得する職員は事前の計画が必要であるが

*また諸事情を加味して必要であれば施設長、あるいは理事長の承認で日数を増やす事も可能とする

 

*ミャンマーの様に国情が不安で一時帰国後の出国行政手続きに要する時間が不安定な場合は事前に十分に対策をとるなどして休暇日数以内に帰国することに務めるものとする。

仮に与えられた日数を超え帰国する場合は就業規則の定めにより休職。

その場合最長6か月とする。

但し理事長の許可により延長する場合もある。

 

*技能実習制度下においての一時帰国はその間は3号就労期間の中にはカウントされない。

特定技能に定められた在留期間にふくまれる。

*帰国に際し必要な費用は技能実習制度において実習実施機関持ち、特定技能制度下であれば規定はない、ただ帰国のための飛行場までの送り迎いは義務である。

しかし付与が努力義務あるいは配慮義務であることと同様飛行機代も支給するのが望ましいであろう。

これも各事業所の判断にて就業規則等にて規定。

 

D  脱退一時金問題

*外国人労働者が国民年金、厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができる。

支給計算期間は5年の就労期間を限度とする。

あくまで退職して日本を離れることが前提の制度です。

従って退職して支給を受けその後再入職はあくまでテクニックです。間違わないように。

 

*現実的には以下のスタイルなど想定できる

①例技能実習2号終了一3号終了、最長5年分を限度として請求し必要となれば条件が整えば請求。

②技能実習2号終了―特定技能1号5年都合8年分ただし5年が限度で、かつ申請期間は条件を得てから2年あるため7年間の間に請求すれば良い從って最長7年の間に帰国して住所を日本から外れて申請すればよい

 

この条件範囲内で申請人が持つ条件で決めればよい。

 

*永住など長期在留希望者は老齢年金の受給資格が10年の加入期間であり脱退一時金を取得した場合其の期間がカウントされない、将来計画とのにらみ合い必要。

 

*また有機契約が通算5年を越えると申し出でにより無期雇用に転換できる。

こともあり無期雇用が制度としても保証される

 

年金保険の脱退一時金との取得の件は権利者の将来計画の中で考える必要がある。

 

この様に条件は極めて個人の持つ条件と雇用企業が持つ雇用条件とのすり合わせが必要となる事柄であり雇用者側とスタッフの深い検討が必要となる。

 

先に記してきたように制度そのものがご都合主義の賜物で一貫性に欠ける制度であるためが制度を逸脱しないように一番良い方法を決定すべきである、その際はテクニックなどおおらかに駆使して最善の結果を求めるべきである。

 

3.相談窓口

以上見てきたように実習生、あるいは技能実習の外国人スタッフは、与えられた環境、あるいは将来の夢、計画の実現性などにて多々疑問あるいは不安など付きまとう。

受け入れ事業所も前例がなく、初めてのことが多々あり制度などの不案内も重なって他の案内窓口に依存する傾向にある。

また制度においてもそれぞれに相談窓口あるいは人材なども規定され、雇用事業所の不安を解消する機能も設置されている。

 

他の窓口とは

(1)技能実習制度にあっては監理団体にその任がある

・求められている機能は技能実習生が母国語で相談できる生活相談の窓口業務や、その内容に応じた対応など、実習生が安心して暮らせる環境整備全般。

と言われている。

また監理団体受け入れ主体であって実習実施機関に実習を依頼する関係であり、あくまで受け入れ責任は監理団体にある。

しかし実際、当事者たちはその自覚を持っていないのが現実。

 

また実習実施機関にあっては技能実習責任者。技能実習指導員、生活指導員

等の配置が必須でありその役割も規定されている

 

(2)特定技能制度における相談窓口

・受けいれ企業にあっては受け入れ外国人に対し義務的支援、任意的支援が規定されていてそれを登録支援機関に委託をすることも可能とされている。

委託を受けた登録支援機関は外国人が円滑に活動できるよう支援する機関であり相談窓口でもある。

具体的には職場や生活上の相談、苦情等について外国人が十分理解できる言語で対応したり、内容に応じた必要な助言指導を行うのが義務つけられている。

外国人にとって制度的には以上のようである。

 

現実的には技能実習制度にあっては監理団体の定期監査時等の相談、あるいは特定技能制度にあっては登録支援機関の日常的相談業務に委ねられている。

実習実施機関、特定技能就労事業所はそれぞれの相談窓口経由で自事業所の雇用スタッフの相談等を聞きく構造になっている、また対策もその諸機関を通しての対策の実施が多くなってきている。

その結果は自事業所のスタッフでありながら、関連第3者を通しての管理が常態となっている。

それが外国人スタッフにロイヤリティを育成できない要因ともなっていて、いつまでも出稼ぎ感覚の不安定さを醸す原因の一つでもあろう。

しかし制度上はそれが仕組みとなっている。

 

4.終わりに

我々国際介護人材育成事業団にあっては、自前の登録支援機関であるため会員事業所に就労している外国人スタッフの相談事などはそちらで対処しているが、それは文字どおり登録支援機関に求められる機能を十二分に発揮する陣立てと機能を有しているため、会員事業所側も配属されている外国人スタッフも絶対の信頼を置き、その結果的にスタッフ管理などは全面的に委ねることとなっている。

しかし、今必要なのは今後の外国人スタッフの常用体制構築の為、受け入れ事業所による外国人スタッフの管理能力強化である、

今登録支援機関に待ちこまれている相談ごとこそ今後にも発生する事案でありその解決能力こそ今後のために必要な事である。

従って、今必要なことは登録支援機関と会員雇用事業所と共に解決策なども協議して、雇用事業所の責任で当事者にその結論などを通知する等のしきたりを作ることではないか。

現状では、採用事業所に設置されている相談員などは、単に表面的な相談事の対応に終始し、外国人スタッフにとって必要な身分の保証、あるいはキャリアアップのための育成相談等などの真に必要な事柄の相談ごと等は登録支援機関、あるいは監理団体が相談相手となっている、結果的にも外国人スタッフは相談相手を使い分けている。

現状では、解決能力によってそれはごく自然の事でもあるが。

 

しかし、そろそろ採用している事業所も雇用者の義務を果たそう、そのためにも果たせるだけの知識と技能を持ち始めよう。

 

今外国人スタッフ採用そして就労にまつわる案件で、取り敢えず整理が必要と思われる事案で思いつくものはこの程度である。

だが他にまだまだあるし、今後も発生すると思はれる。

兎に角 会員雇用事業所のそれぞれにスタッフを管理する力など総合力を共に作ろう。

 

そのためにもまず就業規則などのたたずまい、並びに自事業所の将来を担う戦力育成と国際的循環に向けた人材育成を旨とした個々のスタッフのキャリアプログラムの完成、並びにそれが可能なように自事業所の事業計画の作成を急ごう。

 

2030年まではあと7年2040まではあと17年、介護人材不足は予定された未来ではなく確定された未来である、それも時代の深化はそれが全世界的傾向として発生することを予見している。

しかもその時代は突然やってくるのではなく毎年確実に深化していくのである、そのため対応も毎年進化させる必要がある。

我々はその対策にいち早く気が付いた、それは「介護人材の国際的循環」の実現である。

其の実現の第一歩を踏むことが出来た。

当然新たな課題が発生するが、その存在のありかと対策を発見でき始めたようだ。

さて粛々と実行に精を出そう。